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執筆者の写真kaori nakao

「自分がしてあげたいこと」と「相手がして欲しいこと」

 先日 旅小にブラインドサッカー元日本代表のおっちーこと落合啓士さんが来てくれました。  私とおっちーの出会いは、、、、、 私が10年前の東日本大震災の支援で女川に通っている時に知り合った 同じ支援仲間の女性がおっちーと結婚したから。彼女がおっちーと出会ったのも、やはり東日本大震災の支援から。現地の子どもたちに元気を!とブランドサッカーチームが東北で試合を行ったりしている時。支援仲間だった彼女は、華奢な身体に似合わず、心がとってもパワフル!私たちは横浜からボランティアバスを出して女川に通っていましたが、東京からもバスを出すようにしたのは彼女の力。他国語が堪能でオーケストラにも入っているような彼女とピッチに立っただけでオーラのあるブラインドサッカー日本代表。そんな二人が出会って、結婚! 思いのこもった福島の「Jビレッジ」での結婚式のパーティにも呼んで頂きました!  旅小の子どもたちは、彦井先生の身体の授業の中から、オリンピックのお話も聞くことができました。彦井先生はオリンピックのボランティアでこの夏を過ごして来たので、貴重なお話もたくさん。その中でも子どもたちがとても興味関心を向けたのは、パラリンピックの方でした。

 日々の図書コーナーでも人気なのが、「ハッピー」という盲導犬のお話。そんなこともあって、これはおっちーに旅小に来てもらうしかない!と思い、お願いしてみました。  快諾してくれたおっちーを迎えるために、子どもたちは毎月お料理を習っている「さおりんクッキング」のメニューの中から、おっちーが喜んでくれそうなメニューをいくつか選んで、おっちーに選んでもらいました。  当日は午前中に「おもてなし」の準備に張り切る子どもたち。

おっちーが到着すると、ちょうどご飯が出来上がったところ。 話したいことがいっぱい、伝えたいことがいっぱい、聞きたいこともいっぱい。

ま〜ま〜落ち着いて食べましょう!ということで、食事が終わってから、いよいよ質問タイム!!  子どもたちのまっすぐな質問に、まっすぐに答えてくれるおっちー。

アップ出来なかった質問の中に、「目が見えなくなった時、一番悲しかったことはなんですか?」という質問をした子がいました。おっちーは「目が見えなくなったことで、何も出来ない人と思われることが悲しかった。出来ることはあるのに、誰かに助けてもらわないと何も出来ない人になったようで悲しかったな。後は、好きな女の子の顔が見えないこともね!」と答えてくれました。 すると、質問した子は「俺は家族の顔が見えなくなることが悲しいと思う」と答えました。 「それは大好きな人だからだね」とおっちー。


 質問コーナーが終わると、早速海岸へ向かいました。

砂浜でブラインドサッカーを一緒にやってもらえることになっていたからです。

この辺りの様子はおっちーがYouTubeでアップしてくれています。 https://www.youtube.com/watch?v=tShwJfOhjNE  今回の交流で、子どもたちがおっちーに良かれと思って、おっちーの安全を考えて、渡したたくさんの情報は、おっちーが欲しかった情報だったのか?と気づかせてもらえて考える場面がありました。  すごく遠くに見える電柱の情報、今目の前にある段差の情報、前から来る自転車、後ろから歩いてくる人、今見えている景色、次に曲がる場所までの距離の情報、そしていつも通りの自分の聞いて欲しい話。


「見えない」ということに対して「見えている」情報を盛りだくさんに渡してしまう。

「見えている」人たちは、逆に常にこんなにたくさんの情報が目から入ってくるものを処理しながら、今するべきことに集中している。集中すべきことは何だろう?今、この人に必要な情報はなんだろう?今、自分に必要な情報はなんだろう?


 このことは、おっちーとの関係に限らず、人との関わりの中で大切なことだと思うのです。

 いつでも「自分がしてあげたいこと」の前に「相手のして欲しいこと」を考えられる人でいたいと思うし、子どもたちにもそうなって欲しいなと思うのです。  親子関係でも同じかな?  子どものために良かれと思って一生懸命なあまり「子どものして欲しいこと」を大切にするのをうっかり忘れてしまったり。  子どものために良かれと思って先回りした「私のしたいこと」を押し付けてしまったり。


 中学生になったおうちえんTelacoya921の卒業生が、小学生の頃話してくれたことがあります。

 クラスに少しお手伝いが必要な友だちがいて、先生も「みんなで助けてあげてね」と声を掛ける。友だちはみんなそのお手伝いの必要な友だちのサポートをする。そこに小さな違和感を感じていました。「あの子にも出来ることがあるのに、全部やってあげちゃうことが良いのか?」ということ。周りの友だちの行動は善意からのもの。否定出来ない。でも、何かが違うと感じていたようでした。


 おうちえんTelacoya921でも、年長児が年少、年中児の手伝いをするけれど、全部やってあげてしまうと、その子が出来ることも奪ってしまう。その先も出来ないままになってしまう。だから、その子が「困っているの、手伝って」と言われたことを手伝おう!と伝えています。今では子どもたちが困っている様子を見てもすぐに手伝わず「手伝おうか?」と声をかけます。「自分で!!!」が強くなり始める年頃もあり、「やって〜」と甘えるよりも、到底出来そうにないことでも「自分でやる」と言い張る子が多い。それでも側で見ていてくれて、本当に困った時はお願いできる距離にいてくれる人が存在することは、心強い。そんな関係性を築き上げている子どもたち。  大人も気付かされることがたくさんあります。  これから旅小でもおっちーとのたくさんの時間を重ねる中で、本当に大切なことを心の中に積み上げていきたいと思っています。  おっちーを駅まで送って行ったあの日、改札を入るところまでサポート。目の前に上り電車がちょうど止まっているから乗ってね、声かけました。ホームを歩くおっちーを見送っていると、側にいた女性がおっちーに何やらすぐに声をかけていました。そして、その女性の肩を借りて、おっちーはホームを歩いて行きました。  見送りながら、心がホッとした瞬間でした。


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